バーチャル富士登山
当院の新型コロナワクチンの接種曜日は水曜日と土曜日です。7/16の文章を訂正しておきました。
昔病院勤務していた頃は他のドクター達と交代で夏休みをもらったので7月上旬に夏休みをとったり、
8月末にとったり色々することができました。
自宅に戻った今は世間一般のお盆の夏休み時期以外でとれなくなりました。
来る患者さんには当院の夏休み期間を毎回のように話しています。
その際よく「どこか旅行に行くんですか」と質問されます。
毎年「富士山に登ろうと思います」と返事します。
何故かというと、私のような一般人はお盆の時期限定になると
毎年計画しても実際登れるのはたぶん4~5年に1回ぐらいになるからです。
夏の富士山は良く雨が降ります。
下が晴れていても山が雲に隠れていたら、山では雨が降っている確率が高いです。
頂上付近だけが雲にかかっていても肝心なご来光は見えず頂上だけ雨が降っているかもしれません。
もし幸運にも雨が降っていなくても曇っていて景色は何も見えません。
せっかく登るのなら景色は見たいです。
予定をあけておいて、天気次第で登るか登らないか決めます。
つまり、行こうと思っていた日と翌日の天気が晴れと予想されなければ中止します。
(吉田口を登山口に選んだ場合、途中で岩場を上るので雨では危険です。)
しかし、ここ最近の急激な新型コロナ患者さんの増加があり、
今年は晴れていても富士登山をしないことにしました。
登らないと決めたのでバーチャル登山のつもりで富士登山の説明をします。
富士登山の事を聞かれた時、いつも私が言う言葉があります。「富士登山は修行です」。
富士山5合目まではバスなどで上がるとして、そこからは自力で登ります。
(ただし、例外的に吉田口だけ5合目から6合目まで馬車に乗って上がることはできます)
一歩一歩努力して登り、頂上に着き修行が終わったら御来光を見せてもらう。それが富士登山です。
今迄に7回トライして2回は途中で下山しました。5回頂上にたどり着き御来光は3回見ています。
頂上で御来光を見られなかった2回のうち1回は頂上で雨、1回は曇でした。
本や解説のパンフレットなどでは所要時間は5時間何分とか書いてありますがこの数字は
ひたすら登った区間タイムなので一般の参考になりません。
普通は途中で何回もそれぞれ10~30分の休憩をとります。
まず、個人または少人数で登る際の話をします。
夕方から登り始めれば、灼熱の太陽の下で登らなくても良いので夕方登り始める人が多いです。
日没前の夕方から登り始め一晩かけて登り、日の出前に頂上に着き御来光に間に合わせます。
これを弾丸登山と呼びます。
具体的には夕方7時から登り始め翌朝4時半に頂上に着くならば、9時間半かけたことになります。
昔は下の大駐車場から5合目まで真夜中でも1時間に1本バスが動いていたのですが10年ぐらい前から
このような「弾丸登山」をあまり勧めなくなり最終バスは7時~7時半で終了するようになりました。
個人または少人数で登るメリットはギリギリまで天気を確認できることです。
雨の中を登るのは(特に吉田ルートでは)危険です。
お金を払ってツアーに参加して登ることもできます。ツアーだと山小屋泊で設定されていることが多く、
山小屋も予約で押さえてあります。そのかわり出発はもっと早く朝に新宿を9時集合、
富士山5合目には昼に着き登山開始、夕方7時過ぎには山小屋に到着みたいなスケジュールになります。
翌朝は午前1時過ぎ起床、2時にはもう登り始め4時には頂上に着いて御来光を待つというパターンです。
お盆の時期など参加者は多く、15人くらい集まります。1名のツアーガイドと一緒に登ります。
ツアーの弱点は天気が予想つかない事です。申し込むのは多分2週間以上前(ひょっとしたら1か月前)
雨だったらどうするのでしょう。
ここからはルート(コース)の話をします。
5合目からの登山ルートは4つあって私は今迄に3ルートで登ったことがあり、1ルートは登れませんでした。
4ルートの登り口はそれぞれ吉田口、須走口、御殿場口、富士宮口です。
なお吉田口と須走口は8合目で合流し同じ登り路になります。
吉田口、須走口、御殿場口、富士宮口はいずれも富士山の5合目ですが標高はかなり違います。
最も標高の高い登り口は富士宮口で2400m、最も標高の低い登り口は御殿場口で1450mです。
私が登り切れなかったのは最難関の御殿場ルートです。
御殿場口から登ると、6合目までの長い区間で足が滑りやすい地面が続きます。
1歩足を運ぶ度に5㎝くらい下に靴が滑り、それだけでも体力が消耗します。
その日は途中で懐中電灯も壊れ日没で完全に暗くなり、途中で諦めて下山しました。
今後も無理だろうと思います。これから目指すこともないでしょう。
色々調べたら御殿場ルートだけは「弾丸登山」をした人のブログがないことから、
このコースで御来光を見たければ昼に登り始めなければならないのでしょうね。
大変なだけあって、不人気でもあり山小屋も非常に少ないのが特徴です。
ただし、途中から御殿場ルートに入るという裏ワザがあります。
富士宮口から登り始め宝永山の噴火口の横を通って御殿場ルートに入ることができます。
現在の天皇陛下が皇太子殿下の時代に登ったルートなので別名プリンスルートと呼ばれています。
本当は今年そのルートを行ってみたいと思っていました。
最も多くの人が登るのが吉田口です。富士登山をめざす人の半分以上がこのルートで登ります。
私も最初はこのルートで登りました。
中央高速の河口湖出口は富士スバルラインにつながっていて、その終点が吉田口です。
吉田口でバスを降りると大きなお土産屋さんが数軒あって山小屋的な雰囲気は全くありません。
そこから長くゆるく坂がずっと続いています。最初は大したことないなんて思う事でしょう。
そう言っていられるのは6合目までです。そこから上はこれぞ登山という雰囲気になります。
何とか7合目にたどり着いたら今度は山小屋だらけとなり拍子抜けします。
しかし、その時点で相当消耗しているはずなので
各山小屋前に親切にも置いてある椅子のお世話になる事でしょう。
外の椅子で休むにはお金は取られません。でも、休んでばかりもいられません登らなければなりません。
下から見てすぐ着きそうなのに延々と時間がかかるのも気力をそぐ要因です。
何とか午前2時に8合目に着いたとします。すると各山小屋から続々と人が出てきます。
お盆時期だと8合目から上は午前2時に行列ができます。これには圧倒されます。
上を見ると皆さんの持っているライトの光が延々とつながっていて
御来光に間に合うのだろうかと不安になります。たぶん結果的に間に合います。
立っている時間が殆どで、少し登ったらしばらく休めるので
行例の最後尾に着くことさえできれば頂上まで登ることができるでしょう。
次は須走口です。吉田口と似たような状態ですが、こちらの方が標高は低く、
体力気力の低下は激しいものがあります。
私は途中でクタクタになって何とか上り続けました。8合目を目指し、
「もう御来光はあきらめて8合目の山小屋に駆け込んで寝るんだ」と思って登り続けました。
しかし、8合目の行列を見て並んでしまったのが運の尽き。結局休みながら登ってしまいました。
頂上で御来光を観て下山したのは良いが、後から考えてみると既に体力気力の限界に達していました。
持参の飲み物も減り、ペットボトル半分となった状態でおりたのは大失敗。
下山中に飲み物を買うからいいやと思って下りはじめたら山小屋は一切ありません。
下の方に延々と下山ルートは見えるが一向に下に着かないで、
喉は渇いたままで非常につらい時間を過ごしました。
かなり下まで降りたところにトイレがあり、飲み物の自動販売機がありました。
ちなみに、確か吉田口と須走口は登りルートと下山ルートは別だったと思います。
富士宮口は確か登りと下りは同じ道だったと思います。そこそこ山小屋もあり、休むところもあります。
このルートは最も高い標高からスタートできるので私的には最もおすすめです。
登りきったところは剣が峰に近く、3776m地点に行きたければそこが最も近いというのも利点です。
このコースの弱点は2つあり、最後の方が急坂で登るのがつらくなることと、
登り切らないと御来光が観られないことです。他のルートは途中でも御来光を観ることができるそうです。
いずれにせよ今は全ルートでマイカー規制があり、下の駐車場に自分の車を止めなければなりません。
バスが動いているうちに5合目に着かないとわざわざタクシーを使うことになり大金を払うことになります。
装備は必要です。登り始めは半そで短パンでも暑いぐらいですが、そのうち寒くなります。
防寒具は必須です。頂上の気温は一桁です。風が強ければ体感温度はもっと下がります。
雨に降られる可能性もあり、できれば水をはじく何かを軽くて良いので持って行った方が良いです。
登山靴も必要です。スニーカーだとおそらく足の裏が痛くなるでしょう。
昔、外人さんがたくさん来ていた頃には短パン半そでサンダル姿の人が複数いました。
そんな恰好では吉田口なら岩場で、もう登れなかっただろうと思います。
飲み物は500mlのペットボトルは最低でも4本持ってゆくべきです。
重量を軽くする為に山小屋で飲み物を買うという選択肢もありますが、ペットボトル1本800円です。
いかがでしたかバーチャル富士登山は。書いていたらだいぶ遅くなってしまったので、
コロナの事、政局、替え歌など一切書く暇が無くなってしまいました。
昔病院勤務していた頃は他のドクター達と交代で夏休みをもらったので7月上旬に夏休みをとったり、
8月末にとったり色々することができました。
自宅に戻った今は世間一般のお盆の夏休み時期以外でとれなくなりました。
来る患者さんには当院の夏休み期間を毎回のように話しています。
その際よく「どこか旅行に行くんですか」と質問されます。
毎年「富士山に登ろうと思います」と返事します。
何故かというと、私のような一般人はお盆の時期限定になると
毎年計画しても実際登れるのはたぶん4~5年に1回ぐらいになるからです。
夏の富士山は良く雨が降ります。
下が晴れていても山が雲に隠れていたら、山では雨が降っている確率が高いです。
頂上付近だけが雲にかかっていても肝心なご来光は見えず頂上だけ雨が降っているかもしれません。
もし幸運にも雨が降っていなくても曇っていて景色は何も見えません。
せっかく登るのなら景色は見たいです。
予定をあけておいて、天気次第で登るか登らないか決めます。
つまり、行こうと思っていた日と翌日の天気が晴れと予想されなければ中止します。
(吉田口を登山口に選んだ場合、途中で岩場を上るので雨では危険です。)
しかし、ここ最近の急激な新型コロナ患者さんの増加があり、
今年は晴れていても富士登山をしないことにしました。
登らないと決めたのでバーチャル登山のつもりで富士登山の説明をします。
富士登山の事を聞かれた時、いつも私が言う言葉があります。「富士登山は修行です」。
富士山5合目まではバスなどで上がるとして、そこからは自力で登ります。
(ただし、例外的に吉田口だけ5合目から6合目まで馬車に乗って上がることはできます)
一歩一歩努力して登り、頂上に着き修行が終わったら御来光を見せてもらう。それが富士登山です。
今迄に7回トライして2回は途中で下山しました。5回頂上にたどり着き御来光は3回見ています。
頂上で御来光を見られなかった2回のうち1回は頂上で雨、1回は曇でした。
本や解説のパンフレットなどでは所要時間は5時間何分とか書いてありますがこの数字は
ひたすら登った区間タイムなので一般の参考になりません。
普通は途中で何回もそれぞれ10~30分の休憩をとります。
まず、個人または少人数で登る際の話をします。
夕方から登り始めれば、灼熱の太陽の下で登らなくても良いので夕方登り始める人が多いです。
日没前の夕方から登り始め一晩かけて登り、日の出前に頂上に着き御来光に間に合わせます。
これを弾丸登山と呼びます。
具体的には夕方7時から登り始め翌朝4時半に頂上に着くならば、9時間半かけたことになります。
昔は下の大駐車場から5合目まで真夜中でも1時間に1本バスが動いていたのですが10年ぐらい前から
このような「弾丸登山」をあまり勧めなくなり最終バスは7時~7時半で終了するようになりました。
個人または少人数で登るメリットはギリギリまで天気を確認できることです。
雨の中を登るのは(特に吉田ルートでは)危険です。
お金を払ってツアーに参加して登ることもできます。ツアーだと山小屋泊で設定されていることが多く、
山小屋も予約で押さえてあります。そのかわり出発はもっと早く朝に新宿を9時集合、
富士山5合目には昼に着き登山開始、夕方7時過ぎには山小屋に到着みたいなスケジュールになります。
翌朝は午前1時過ぎ起床、2時にはもう登り始め4時には頂上に着いて御来光を待つというパターンです。
お盆の時期など参加者は多く、15人くらい集まります。1名のツアーガイドと一緒に登ります。
ツアーの弱点は天気が予想つかない事です。申し込むのは多分2週間以上前(ひょっとしたら1か月前)
雨だったらどうするのでしょう。
ここからはルート(コース)の話をします。
5合目からの登山ルートは4つあって私は今迄に3ルートで登ったことがあり、1ルートは登れませんでした。
4ルートの登り口はそれぞれ吉田口、須走口、御殿場口、富士宮口です。
なお吉田口と須走口は8合目で合流し同じ登り路になります。
吉田口、須走口、御殿場口、富士宮口はいずれも富士山の5合目ですが標高はかなり違います。
最も標高の高い登り口は富士宮口で2400m、最も標高の低い登り口は御殿場口で1450mです。
私が登り切れなかったのは最難関の御殿場ルートです。
御殿場口から登ると、6合目までの長い区間で足が滑りやすい地面が続きます。
1歩足を運ぶ度に5㎝くらい下に靴が滑り、それだけでも体力が消耗します。
その日は途中で懐中電灯も壊れ日没で完全に暗くなり、途中で諦めて下山しました。
今後も無理だろうと思います。これから目指すこともないでしょう。
色々調べたら御殿場ルートだけは「弾丸登山」をした人のブログがないことから、
このコースで御来光を見たければ昼に登り始めなければならないのでしょうね。
大変なだけあって、不人気でもあり山小屋も非常に少ないのが特徴です。
ただし、途中から御殿場ルートに入るという裏ワザがあります。
富士宮口から登り始め宝永山の噴火口の横を通って御殿場ルートに入ることができます。
現在の天皇陛下が皇太子殿下の時代に登ったルートなので別名プリンスルートと呼ばれています。
本当は今年そのルートを行ってみたいと思っていました。
最も多くの人が登るのが吉田口です。富士登山をめざす人の半分以上がこのルートで登ります。
私も最初はこのルートで登りました。
中央高速の河口湖出口は富士スバルラインにつながっていて、その終点が吉田口です。
吉田口でバスを降りると大きなお土産屋さんが数軒あって山小屋的な雰囲気は全くありません。
そこから長くゆるく坂がずっと続いています。最初は大したことないなんて思う事でしょう。
そう言っていられるのは6合目までです。そこから上はこれぞ登山という雰囲気になります。
何とか7合目にたどり着いたら今度は山小屋だらけとなり拍子抜けします。
しかし、その時点で相当消耗しているはずなので
各山小屋前に親切にも置いてある椅子のお世話になる事でしょう。
外の椅子で休むにはお金は取られません。でも、休んでばかりもいられません登らなければなりません。
下から見てすぐ着きそうなのに延々と時間がかかるのも気力をそぐ要因です。
何とか午前2時に8合目に着いたとします。すると各山小屋から続々と人が出てきます。
お盆時期だと8合目から上は午前2時に行列ができます。これには圧倒されます。
上を見ると皆さんの持っているライトの光が延々とつながっていて
御来光に間に合うのだろうかと不安になります。たぶん結果的に間に合います。
立っている時間が殆どで、少し登ったらしばらく休めるので
行例の最後尾に着くことさえできれば頂上まで登ることができるでしょう。
次は須走口です。吉田口と似たような状態ですが、こちらの方が標高は低く、
体力気力の低下は激しいものがあります。
私は途中でクタクタになって何とか上り続けました。8合目を目指し、
「もう御来光はあきらめて8合目の山小屋に駆け込んで寝るんだ」と思って登り続けました。
しかし、8合目の行列を見て並んでしまったのが運の尽き。結局休みながら登ってしまいました。
頂上で御来光を観て下山したのは良いが、後から考えてみると既に体力気力の限界に達していました。
持参の飲み物も減り、ペットボトル半分となった状態でおりたのは大失敗。
下山中に飲み物を買うからいいやと思って下りはじめたら山小屋は一切ありません。
下の方に延々と下山ルートは見えるが一向に下に着かないで、
喉は渇いたままで非常につらい時間を過ごしました。
かなり下まで降りたところにトイレがあり、飲み物の自動販売機がありました。
ちなみに、確か吉田口と須走口は登りルートと下山ルートは別だったと思います。
富士宮口は確か登りと下りは同じ道だったと思います。そこそこ山小屋もあり、休むところもあります。
このルートは最も高い標高からスタートできるので私的には最もおすすめです。
登りきったところは剣が峰に近く、3776m地点に行きたければそこが最も近いというのも利点です。
このコースの弱点は2つあり、最後の方が急坂で登るのがつらくなることと、
登り切らないと御来光が観られないことです。他のルートは途中でも御来光を観ることができるそうです。
いずれにせよ今は全ルートでマイカー規制があり、下の駐車場に自分の車を止めなければなりません。
バスが動いているうちに5合目に着かないとわざわざタクシーを使うことになり大金を払うことになります。
装備は必要です。登り始めは半そで短パンでも暑いぐらいですが、そのうち寒くなります。
防寒具は必須です。頂上の気温は一桁です。風が強ければ体感温度はもっと下がります。
雨に降られる可能性もあり、できれば水をはじく何かを軽くて良いので持って行った方が良いです。
登山靴も必要です。スニーカーだとおそらく足の裏が痛くなるでしょう。
昔、外人さんがたくさん来ていた頃には短パン半そでサンダル姿の人が複数いました。
そんな恰好では吉田口なら岩場で、もう登れなかっただろうと思います。
飲み物は500mlのペットボトルは最低でも4本持ってゆくべきです。
重量を軽くする為に山小屋で飲み物を買うという選択肢もありますが、ペットボトル1本800円です。
いかがでしたかバーチャル富士登山は。書いていたらだいぶ遅くなってしまったので、
コロナの事、政局、替え歌など一切書く暇が無くなってしまいました。