コロナ第三波が来てしばらく経ち年末になる前の12月中旬までのことを思い出してください。
今でこそ新型コロナ患者さんの入院患者さんを受け入れると〇〇万円出すと各知事が言い出したが、それまでは、つまり昨年12月年末直前までは、病院経営は一顧だにされなかった。職員に出す協力金が少し出ていたが病院に対し国や自治体は金を出しませんでした。12月に協力金というのが開始されたが必要な額より2桁少ない設定でした。
病院経営を考えてみましょう。例えば1000床の病院にコロナベッドを50床あけろと知事が簡単に言ったとします。
ある程度大きな病院は通常空きベッドを50など持っていません。そんなことをしたらあっという間に赤字に転落します。公立病院といえども(まして私立病院は)お金の出入がある以上、黒字か赤字になるわけですが、「空きベッドを作れ」という発言は「赤字経営しろ」ということです。
知事が各病院に無理強いして〇〇ベッド確保したと偉そうに話す姿を見てましたが、その実態を知る人はほとんどいないだろうと思います。各知事は病院を踏みつけにしてベッドを確保したと言っているのです。
「確保?」されたベッド=空き室により病院の赤字が拡大するなか、コロナ患者が通院するだろうと思われただけで外来患者が激減し、外来収入が再び落ちこんだのが昨年12月です。さらに年末から今年にかけコロナベッドが急に埋まり病院経営が一息付けたと思ったあなた。そんなに甘くありません。
ICUでのスタッフの必要人数はコロナの場合通常の3倍の人数が必要と言われています。3倍の人件費が必要であっても保険医療では1人分でしか支払われません。病院は空床でも赤字、ベッドが埋まっても赤字というのが現状です。昨年末から知事が具体的にいくらいくら出すといい始めたので、ここ数週の収支は改善されたはずですが、各病院の累積赤字がどうなってしまったか心配です。